新作ショー 宝塚月組 BADDY 斬新という昭和感

新解釈・新演出でお届けします、みたいなものに、私は目が無い。

誰もが知っている演目を安心して観ているのも良いが、こう来るか!なるほど!という解釈で、演出家の思いが俳優の演技力で観客に伝わる、何ともいえない鳥肌と幸福感を味わえる。


宝塚のショーは学生の頃から観ているが、今回月組の上田久美子先生演出「BADDY(バッディ)-悪党(ヤツ)は月からやって来る-」を観ると決めてから、新作ショーを心待ちにするワクワク感を久しぶりに味わっていた。往年のジークフェルド・フォーリーズで、「常に観客は、新しいショーには新しいセット、新しい衣装を望んでいる」とかいう台詞があった。最近の宝塚のショーは、ああ、次はあれね、いつものあの曲ね、あの衣装ね、みたいな。。いや、良いんですよ、伝統あるショーは大好きです。

「BADDY」は、幕開きから、私はなんだか懐かしさを覚えた。ストーリー仕立てのショー、これは学生時代に見ていた昭和のショーではないか!草野旦先生作「スカイ・ハイ・スカイ」を思い出した。ペンギン親子のメルヘンチックでおとぎ話のような一コマ、進むにつれて色々な鳥たちの物語が始まる。「ハッピーエンド物語」も懐かしい。メッセージ性が強い「ノバ・ボサ・ノバ 」「オペラ・トロピカル」のような、熱い男達の激しい踊りや、圧倒的な群舞が思い出された。そして可愛い妖精達は「PUCK」?

BADDYはヘビースモーカーで、銀行強盗、パスポート偽造(笑)、爆破して捕まって、次は何をやらかすの~♪っていうハラハラドキドキ感、でもちゃんと宝塚のショーの様式(型)は崩さず場面が展開される、マジで唸った。そして圧倒的スター達がそこにはいて、皆めちゃくちゃカッコいいのだ。トップスター珠城りょうさんは、西部警察の石原裕次郎みたい。愛希れいかさんはアニメのキャラクターのようで、今の時代には昭和感が斬新なのかな~!

男でも女でもない、美弥るりかさんのスイートハート。白黒付けられない、善悪ごちゃ混ぜなグレーな世界。日本のよさは、白黒つけないグレーな世界があるから魅力的なんだよと、アメリカ人に教えてもらったことがあったなー。

女性達の怒りのラインダンス。あれは、なんだか泣けてきた。痛いほど気持ちが伝わってきて、思わず足上げのタイミングで拳を上げたくなった。そして愛憎を秘めた、歴史に残るようなデュエットダンス、パレード最後は、銀橋で手品のような小道具使いもWOW驚いた。全体的に色鮮やかで、端から端までわちゃわちゃしてて楽しい。その中に細かなこだわりがちりばめられ、ユーモアたっぷりでした。

すっかり上田久美子先生の、まさに忖度無しの演出表現と、それに答える組子のパワーに圧倒されてしまいました。昭和の時代、表現者が色々チャレンジをして、沢山の名作を作ってきた。時にトンデモ作品もあったりしただろうが、そんな自由な空気があった。これからも多様な作品作りを、恐れず続けてもらいたいなー。伝統を守る事は素晴らしい。でも、真似だけでなく変化を恐れず、チャレンジ精神も失わないで欲しい。そんな願いも込めて。。

とにかく、月組の意欲作、劇場で観てください。色々な感想があっていい、うおぉぉおってなれば、それでOK~とりとめも無い、つぶやきでした。

そして千秋楽、どうしてもまた観たくてライブビューイングに行ってきました。その夜、GOODYが夢に出てきて、あの音楽が流れていて、頭が活性化し続けて夢うつつの状態。
はーこれで見納めなのね~悲しい・・・。やっとの思いでゲットしたCDを聞きながら、再演待ってますから~。

そう、お芝居「カンパニー -努力(レッスン)、情熱(パッション)、そして仲間たち(カンパニー)-」。”努力と情熱、そして仲間がいれば大丈夫”って台詞が胸に響きました。まさに今作品の月組、そのものではないかと。バックステージ(裏側)ミュージカルとして、ショービジネスの裏側を垣間見れて、トリビアな話もあったり面白いですよ。

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ukai
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比較的自由なIT系仕事人。平日は2,3社お世話になり、休日はヨガ、観劇、アート鑑賞。カフェ好き。自称・投資家を目指してます。

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