バーンスタイン生誕100年「WEST SIDE STORY」

2018年は、アメリカの偉大な作曲家レナード・バーンスタイン生誕100年目(1918~1990年)であり、記念コンサートやバーンスタイン作曲ミュージカル「ウェストサイド物語」が上演されている。子供のころ、何度も映画版ウェストサイド物語をみて、あの有名なレコードジャケットのかっこ良さと、ノリの良さ、指パッチンのジーンズ姿の少年が踊る姿に心躍りました。サントラ盤としても素晴らしい、不朽の名作揃いです。

宝塚版「WEST SIDE STORY」大阪版

行ってきました!初・大阪 梅田芸術劇場メインホール。大きい、こんなに大きな劇場だったのですね!この真夏の暑さ、道に迷うだろうと思ってタクシーに乗ってみたものの、渋滞に嵌り・・・、ギリギリで到着でした。ふー。

東京フォーラムの時よりも沢山お稽古を重ねて、メンバーとの絆も深まったのでしょうか。より迫力があり、より団結力を感じました!トニーとマリアのコーラス、手に汗握りながら見ていた、まさに釣り橋効果的な?そんな気持ちが少し和らいだかな(笑)

なんと言っても「マンボウ」ですよ、何なの♪この盛り上がり!ずっと何度でもこのシーンを見ていたい。宙組の魂を感じました。今回リフ役・澄輝さやとさんのリーダーシップぶり。上級生である澄輝さんが思いっきり踊れば、皆もそれに続けと盛り上がり、今回ベルナルド役・愛月ひかるさんと、アニータ役・桜木みなとさんが、デュエットダンスでカッコよく決めれば、他のカップルも思いっきり決めてくる。ホンモノのダンス対決を見せてもらいましたっ!

海外の演出家が入ったミュージカルで、すみれコードは関係なく(多少変更はあったみたい)そのままストレートに演じきりましたね。それが好印象です。演出家は台詞一つ一つに魂をこめ、全てに意味があるんだと思います。”宝塚風”にせずそのまま演じたお陰で、宝塚にありがちな予定調和的な所が無く、フィナーレの最後まで本物を見せてくれました。

そしてあらためてWSSの素晴らしさを感じました。映画をもう一度見直そうかな。何度でも観たい、映像化してくれ~頼みます!!!

宝塚版「WEST SIDE STORY」東京版

宝塚宙組の「ウェストサイド物語」を観劇しました。宝塚でウェストサイド物語を上演するのは1999年ぶり。適任の役者が揃わなければ上演が出来ない、難易度の高い演目。ブロードウェイからスタッフを迎えての宝塚バージョンです。


東京国際フォーラムCホールでの幕開け、生オーケストラでオープニング演奏が始まった瞬間、ああ、いつもの宝塚とは違う、外部のオーケストラと指揮者だなと、鳥肌が立って感極まり涙です(笑)。宝塚の中でも一番背が高く、スタイルの良いメンバーの集まった宙組。不良グループのシルエットが浮かび上がると、そこはハーレム。スラッと足の長い若者達のシルエットが見えます。あの有名な3人が片足を高く上げるポーズ芹香斗亜さんベルナルド登場!これだ~!ジョージ・チャキリス再現率、完璧です。ウエスト・サイド物語 (コレクターズ・エディション) [DVD]

「ロミオとジュリエット」がベース

「ロミオとジュリエット」がベースとなっているミュージカルで、敵対する家の関係から、ポーランド:ジェッツ団プエルトリコ移民:シャーク団(映画版ではイタリア移民VSプエルトリコ移民)の対決に置き換え、どっちが先にアメリカに来たのか、若者たちが島を巡って小競り合い。恵まれない日々の不満が一発触発。ジェット団トニーと、シャーク団ベルナルドの妹マリアの恋愛は、儚くも悲劇に巻き込まれます。

「ロミオとジュリエット」と「ウェストサイド物語」主な配役対比表です。

モンタギュー家 ジェット団 キャピュレット家 シャーク団
ロミオ トニー(親友) ティボルト ベルナルド(リーダー)
ベンボーリオ リフ(リーダー) ジュリエット マリア(ベルナルドの妹)
マキューシオ アクション(仲間) 乳母 アニータ(ベルナルドの恋人)

名曲揃い

「Cool」クールに行こうぜ

ジェット団がシャーク団に決闘を申し込みます。その前夜、身体がうずうずしているメンバーにリフが、落ちつけ、冷静にそのときを待つんだ!と言って、パワーを内包させて踊り歌います。桜木みなとさんリフの「クール!」は、若さスパークって感じでカッコよかったです。

「Tonight」トゥナイト 今宵こそは

トニーとマリアのバルコニーのシーンで歌われます。まだ出会って1回しかないのに、運命の出会いと感じて、夜のバルコニーから忍び込み、この歌を歌い上げます。新トップ・真風涼帆さんトニーと、星風まどかさんマリアのハーモニーが、観ているこちらがドキドキするほど初々しく、まさに初恋そのものでした。

「Manbo」ダンス対決マンボウ

体育館でのダンスパーティー。お互い仲良くしていると思いきや、決闘の申し出をするために彼らは集まります。最終的には両チーム分かれてダンス対決。このマンボウ!の掛け声とダンスがカッコよすぎます。前後の場面展開の演出、色合いやダンスモブ、照明の使い方が、50’sのアメリカを感じさせ、雰囲気があって秀逸です。

「America」アメリカ

シャーク団の女たちが、プエルトリコに帰りたいわ、いやアメリカが一番よと、お互い言い合いながら歌うシーン。アニータの迫力ある歌とダンスが見せ場です。宙組の和希そらさんの高い技術が、ブロードウェイミュージカルを観てるという気分にさせてくれます。アニータ、本当にいい女です。梅田芸術劇場での再演では、アニータ役に桜木みなとさんが挑戦。これは必見、2人のアニータを見比べたいと思い、大阪遠征を決めましたよ、私!

「Somewhere」遠い何処か

トニーはリフを刺し違えたベルナルドを刺してしまいます。警察に行くというトニーをマリアはひきとめ、二人でどこかで逃げようと思います。逃げ場の無い二人夢のシーン。遠い何処かで、全人類が平和に過ごせる世界はあるよきっと(いや無いんだな)、希望が見える影ソロが、きれいな天国のような場面を演出します。

普遍的なテーマ・移民問題

昨今、ダイバーシティー政策より、人種差別的な映像や、洋服に描かかれた差別的メッセージやイラストを訴えるニュースが話題になり、企業姿勢を問われて謝罪することもしばしば。このミュージカルの台詞、演出は、ストレートに人種差別や、警察の不正、賄賂、大人に見捨てられた子供たちを描き、表現しているので、若干戸惑いもありました。しかも宝塚、女性だけで演じるという、国籍、性別問わず、ある意味ダイバーシティーだ・・・。
若者が命を賭けて一生懸命であればあるほど、何のために?と滑稽だなと思ったし、劇中歌「Somewhere」何処かで幸せに暮らせる・・・夢は、残念ながら今の世の中では絵空事だなと苦しくなったり。アメリカで上演されてから60年経ちますが、今でも色褪せない移民の問題、人種間の悲劇、平和へのメッセージを、バーンスタインの個性的な魂のリズムと綺麗な旋律から、どストレートに受け取り、久々ずし~んと重かった。。世の中の状況は何も変わっていない、そう感じました。この名作を今の時代に上演することには、とても価値があり、果敢に挑戦しているタカラジェンヌたちに拍手です!!

バーンスタインもウクライナ系ユダヤ人の移民だそうです。アメリカは移民の国、移民から文化が生まれた国。アメリカらしさとは何なのか?アメリカ人とは何なのか?この神がかった伝説のミュージカル・ウェストサイド物語に込められていると思いました。

一度は聴いて感じて欲しい!

今まで見た中でNO1.のミュージカル。いつ何度でも観たい聴きたい!作品です。
2018年3月4,6日オーチャードホールにてミュージカル音楽コンサート、8月4,5日東京フォーラムにて、佐渡裕指揮「ウエスト・サイド物語」シネマティック・フルオーケストラ・コンサート、7月24日~8月9日まで大阪・梅田芸術劇場にてこの宝塚版「WEST SIDE STORY」が再び上演されます。なかなか生演奏で全曲聴ける機会は無いので、この100年目に各地で催されるミュージカルやコンサートに是非お出かけになってはいかがでしょうか?未だ1度も観たこと、聴いたことがないあなたに、文句なし超お奨めです。

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ukai
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比較的自由なIT系仕事人。平日は2,3社お世話になり、休日はヨガ、観劇、アート鑑賞。カフェ好き。自称・投資家を目指してます。

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