浅利慶太さんが先日亡くなられました。TVドラマ「越路吹雪物語」を見て、浅利さんとコーちゃんや東宝との関係をあらためて知りました。日本のミュージカル界に革命をおこし、劇団四季を作り上げた方。ご冥福をお祈りします。「今度の劇団四季は、ぐっとくる」の超話題作・評判高い「ノートルダムの鐘」を見てまいりました!1年前に予定が合わずに泣く泣くチケットを売りに出し、今度こそは!と横浜KAATまで、予備知識ゼロでのぞみました。
舞台中央にはノートルダム教会のステンドグラスに、大きな鐘が沢山。周りには聖人の石像が並び、なにやら重々しい感じ。まるで映画「ダビンチ・コード」の世界。あの頃のキリスト教のお話は好きじゃない。宗教に理解が無いのと、共感がもてないのと・・・。
15世紀のパリ。え、真面目なお兄さんと、遊び人の弟?ジプシー女と怪物の顔をした孤児。かなり重たい重厚なテーマなお話だと、始まって5~10分ぐらいで感じ取れます。ディズニーアニメになった作品なのに随分大人向けなんだなー。作者は誰だ?と思ったらなるほど!あの「レ・ミゼラブル」の作者、ヴィクトル・ユーゴーでした。人間の光と闇、何が正義で何が悪か?正解が無い深いテーマ。色々な主人公の視点で共感ができるミュージカルだなと直感しました。キャストは以下の通り。
もくじ
舞台演出が秀逸
片目に墨を塗って、背中にコブをしょったら、あっという間に主人公・カジモドになりきります。普通の人間との違いは、たったそれだけ。なのに虐めたり怪物と呼んだり・・・、人間って酷いなと思い知らされます。
大きな鐘が舞台いっぱいに現れ、鐘を鳴らすロープにぶら下がりながら舞台上を前に置へと移動する様子が、躍動感があって、鐘を鳴らす仕事に誇りを持っている様を感じます。石像たちが歌い出し、ケープを脱ぐとパリの市民に早替わり。スピーディーな展開も魅力です。
ただ、そこが世界の頂上でパリを全て見渡せるか?といわれると、若干無理があったかな。
コーラスが素晴らしい さすが劇団四季
聖歌隊のコーラスが重厚で素晴らしい。ステンドグラスの照明も効果的で、本当に教会に迷い込んできたかのような気持ちになります。冷たい石の教会の奥から聞こえてくる歌声。15世紀に迷い込んだような気持ちになります。
カジモドが愛おしくて仕方が無い 涙が止まらない
飯田達郎さんの演技と歌の迫力が素晴らしくて。時々自分の頭を叩きながら、僕は良くわからないと苦悩する姿も愛おしく、一生懸命自分の頭で考え行動に出る、それを応援する石像たちも優しく、心から応援したくなるようなシーンが沢山ありました。エスメラルダはフィーバスを愛していると知った時、そんな~残酷なあ。。と思いましたが、これも現実。失恋する事で人間として成長できるのだ!
エスメラルダがまじカッコいい!あんな女になりたい
ジプシー女は自由でなければならない。自分で決めるんだ。差別される立場と引き換えに、彼女たちはいつも自由である。ダンスはチャーミング、生きるためには何だってする。自由だからこそ、偏見を恐れず、素晴らしいものを見抜く力があるんだよね。カジモドのやさしさや強さを言葉で伝えられる。まじカッコいいです!
フロローがエロ爺さん こんな権力者が世の中には沢山いる
悪人顔でなく、普通の良い神父さんという印象だったので、段々とカジモドやエスメラルダへ向けられる締め付けや曲がった正義感が、余計に痛々しく感じた。”間違った事は一つも言っていない”と信じきって、町を燃やし人を殺す怪物になっていく様が怖かった。
今回の登場人物で一番気になったのは、実はフロローでした。権力者とは何だろうかと考えさせられた。昨今騒がれている政府内の文章改ざんやセクハラ問題など、めちゃくちゃ共通項があると思いました・・・・。もっとこっちサイドの人たちを、メンタルケアしなくてはいけないかも知れないね。
障害のある人、差別を受けている人、多様性を考える
エスメラルダの台詞で「あなたの個性を生かしてみない?」というステキな言葉がある。それによって、カジモドは民衆に怪物のような顔をさらしまったのだけど、守られてずっと隠れているより、非難されても勇気を持って一歩外に出てみることが大切なんだな。世の中は広い、もっと不幸な人はいるかもしれない。私に出来る事があるかもしれない。そんな世の中になるといいな。
原作を読んでみようかな
「ノートルダムのせむし男」という邦題で私は覚えていたのですが、差別用語が入っているということで、ノートルダムの鐘、という邦題になったようです。原題は、ノートルダム・ド・パリです。
ディズニーアニメ映画の「ノートルダムの鐘」も素晴らしい
日本語吹き替えが、石丸幹二さん&保坂知寿さん。元劇団四季のお二人だから、とっても素晴らしい!まるでミュージカルを見ているようなアニメーション。声って大事ですよね、もちろん歌も最高。ミュージカルとは結末が違うみたいで、それもお楽しみの一つ。
これ、宝塚でやりませんか!?
そういえば、月組の霧矢大夢さんがトップの頃のショー「Dance Romanesque」のワンシーンで「ノートルダム・ド・パリ」をやっていた事を思い出しました。エスメラルダを蒼乃夕妃さんがぴったりだった!ということで、考えた配役は
カジモド:美弥るりか
エスメラルダ:海乃美月
フロロー:月城かなと
これは、月組の美弥さん以外考えられない。「グランドホテル」のオットーを見事演じられた方。せむし男だけど心がやさしい役がぴったり。是非観てみたい!そして意志が強くダンスが上手で皆を魅了する女性に、「鳳凰伝」タマルで泣かせてくれた海乃さん。フロローは、輝月ゆうまさんももちろん任だけど、品があって正義のために神に使える難役を、月城さんにお願いしたい。レ・ミゼラブルでいう所の、ジャベールのような立ち位置。悪役ではあるけど、本人はいたって正義のため、そして愛する人を得るため、権力に物を言わせた怪物になってしまう役どころ。新境地ですね、聖職者の衣装が似合いそう。
海外ミュージカルを常に成功に導く月組カンパニーに挑んでもらえればいいなー。版権の問題とかありますか?スターがせむし男じゃいけませんか?絶対感動の嵐だと思うのですが。
2018年冬に「ファントム」再演が決まっておりますが、シチュエーション的にはファントムの怪人ぽいし、想像しただけで絶対、泣く。歌劇団様、是非ご検討くださいませーー。
そして次は10月に名古屋四季劇場 (愛知県)で上演されるそうです。また1年後ぐらいに東京に戻ってくるのかな~
ukai
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