涼しくなってきましたね。ああ秋がもう来てしまったという感じです。芸術の秋。夏から引き続き9月まで続いている企画展や、秋の目玉企画展、しっとり日本画展など、いろんなジャンルを含めてご紹介したいと思います。
もくじ
没後50年 藤田嗣治展
会期:2018年7月31日(火)~2018年10月8日(月・祝) 東京都美術館
とても充実してました。藤田の初期、パリ絶頂期、第一次世界大戦の戦火を逃れるために訪れた南米時代、そして帰国して第二次世界大戦へ。戦争画家時代の大作、そしてまたパリへ戻り、子供たちの絵や宗教画を描いていた晩年の作品まで。とにかく幅広く、画風もいろいろ、一人の人生としてはかなり激動だなーと思って楽しみました。
乳白色の美人画は、日本画の墨を使った縁取りの手法を取り入れているそうで、日本画の繊細な技術が特徴となっている。第二次世界大戦アッツ島の大作は、まるでルーベンスやミュシャの戦争劇画のようで、不謹慎ではありますが、日本であれだけの迫力を出せる方は他にいない、やるなって思ったし、世界に対して日本人であることを凄く意識している気がします。
何気に私が一番気に入ったのは、パリ時代の藤田の静物画でした。お気に入りの絵皿や時計、花瓶、花など、とっても愛らしい。漆喰の壁にぼやかした影のつけ方がとっても好きです。
マルセル・デュシャンと日本美術
東京国立博物館・フィラデルフィア美術館交流企画特別展
会期:2018年10月2日(火) ~ 2018年12月9日(日) 東京国立博物館 平成館
便器にサインをしただけで、これが芸術ですと、美術館に展示してしまったという伝説の人。そこにたどり着く意味、考え方、生き方、とってもかっこいいです。
デュシャンと日本の「見立て」の比較が面白かった。撮影OKな会場でした。嬉しいですよね。
でもね。。。私は断然、千利休の見立てがカッコよくて、改めて最高♪って思いましたよ。
闇夜に浮かび上がる、長次郎の黒茶碗。かっこよすぎる!
ルーベンス展-バロックの誕生
会期:2018年10月16日(火)〜2019年1月20日(日)国立西洋美術館
さあ、お待ちかねのルーベンスですよ!プラド美術館展の中で、ベラスケス派かルーベンス派か?という当時の貴族達が好んで購入した話がありましたので、是非じっくり見てみたいと思います。東京にいれば、ベルギーに行かなくても、ルーベンスが見れるんですよ。
「絵筆の熱狂」と言われたそうです。大迫力、劇画調、今にも動き出しそうな躍動感。確かな技術力の裏付けがあってこその、登場人物の目力、肉感、エロス。当時とっても人気のあったルーベンス。頷けます。西洋美術館という美術館にぴったりの、重厚な展示だと思いました。
ムンク展―共鳴する魂の叫び
会期:2018年10月27日(土)〜2019年1月20日(日) 東京都美術館
あの有名あムンクの叫びの実物が見れます。それだけでなく、私が注目するのは、コラボレーショングッズ。きっと叫ぶ顔がいろいろなものに利用されて、面白くなるのでは~と思ってます。暗い題材の絵を描いた、北欧の歴史や画家の背景にとても興味があります。たしか絵の構図には、浮世絵の影響を受けているそうです。
荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋
会期:2018年8月24日(金)~2018年10月1日(月)国立新美術館
JOJO初心者です。ファーストインプレッションで、カッコ良い絵だなと思ったから、行ってみました。たしかGUCCIとのコラボレーションが素敵だと思いました。
JOJOって30周年で、主人公がイタリア人だったり日本人だったり、孫が出てきたり、とにかく長い物語なんですね。スタンド(超能力の一種)の種類が豊富で、強い者が勝つ訳ではない深い物語であるということ、そして絵の構図やキャラクターの描き方が、ヨーロッパのいろいろな画家の作品からインスピレーションを得ている事を知りました。
荒木さんをネットで検索すると、「年齢不詳」って出てくる…、確かにお若い!!ご本人もとっても素敵です。
当日の運営者の方々がとてもきっちりとルールを作っていて、混乱することなく作品を見る事ができまして、それが感動的でした。時間で区切った入場制限、写真撮影スペースが広くて楽しいこと、そしてグッズ売り場が混乱しないような仕組みになっている事。残念ながらほとんど売り切れ状態でしたが。それだけ人気があるのだと知りました。
建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの
会期:2018年4月25日(水)~2018年9月17日(月)森美術館
日本の建築技術のすばらしさを実感したいと思っています。千利休の有名な2畳茶室の原寸大レプリカがあるとのこと。ミニマリズムとはこういうこと。どこにも無駄がなく唸るような設計だそうです。感想は以下の夏休み編に記載。
アルヴァ・アアルト――もうひとつの自然
会期:2018年9月15日(土)~2018年11月25日(日) 神奈川県立近代美術館 葉山
フィンランドでとても有名な建築家です。アアルトの家具や電気の傘も有名です。北欧家具や食器が好きなので、行ってみたいなと思います。葉山の美術館が15周年記念、早いな~。最初の展示は確か、ベルナール・ビュフェの彫刻だった記憶が。なんだこれーとかいって彫刻に触ってしまって、えらく怒られた(笑)。マナーを知らなかったなー、フフフ。
小倉遊亀展
会期:2018年10月6日(土)~2018年11月18日(日)平塚美術館
夏に初めて訪れて、その際小倉さんの企画展があることを知り、とても楽しみにしていました。女性の日本画家。小倉遊亀さんは105歳で亡くなったそうで、堀文子さんと同じようにとっても長寿。
絵を見てると、舞妓さんや遊女、女優さん達の着物の柄、帯の質感、とっても細かい!九谷焼の絵柄も詳細に描かれていて、着物や器が大好きなんだな~と思いました。あと白桃好き?好きなものだからあんなにおいしそうに描けるのかと。見てる方がほっこりする子供の絵や、現代的で当時の女性の自立を主張するようなものなど、とても興味のある展示でした。大きな絵の迫力は美術館ならではと思います。
原安三郎コレクション 小原古邨展 -花と鳥のエデン-
開館20周年記念-版の美Ⅱ-
会期:2018年9月9日(日) ~2018年11月4日(日) 茅ヶ崎美術館
オハラコソンと読むのですが、花と鳥のエデン、というサブタイトルに惹かれました。
NHK日曜美術館で放映されてますます人気者だそう。美術館のスタッフの方が、いつも500部刷る図録を、今回は1万部刷りましたとお話しされていました。飛ぶように売れていました。
後期のみでしたがやっと茅ヶ崎まで訪れる事ができました。9:45に現地に着くと、もうすでに行列。仕方ありません、人数調整していただいた方がゆっくり見れますからね。これ版画なの?って思うくらい精巧。版画は手で扱う小ささなので、間近でじっくり見る時間が必要。写真撮影OK(NOフラッシュ)だったので、とても楽しく拝見。皆さん思い思いに感想をおっしゃってたのが、聞いてた面白かった。
私は真正面アングルの雀が好物。そして蓮の花のピンクが美しい。月夜や波の表現も秀逸。とにかく四季折々の動物たちの可愛いこと♪もうこれだけの展示は計画されていないそうで、貴重な体験でした。
知らなかったな~こんなに技術のある版画を作る人がいるなんて!色合いも素敵で動物の表情がいい!花鳥風月、かわいらしい絵がたくさんありました。図録は、墨絵を長年描いている伯母のプレゼントにもいいかもと、2冊ゲットしました。堪能しました。
京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-
会期:2018年9月19日(水)~2018年11月11日(日) サントリー美術館
密教美術の宝庫である醍醐寺。秀吉の醍醐の花見が有名になった場所。仏教の中の秘密の教えが、密教って事?ある権限のある人しか行えない修行方法、政治利用をするには扱いやすい訳で、なるほど。だからこれだけの芸術を、金にものを言わせて作れたのか?お勉強しないと。
やはり、この重要文化財 「如意輪観音坐像」がダントツで美しくて、可愛くて、入っていきなりばーーんとお出ましです♪もうこれだけで、来てよかったと思った(笑)。他にも、重要文化財 「五大明王像」は、なかなか迫力のある、今まであまり見たことのない様式の仏像を見る事ができます。
生誕110年 東山魁夷展
会期:2018年10月24日(水)~2018年12月3日(月) 国立新美術館
「国民的日本画家」といわれた東山さん。私の第一印象は、群青が美しく、整っていて、まるでイラストのような日本画(正直、あまり面白くない絵)でした。
しかーし!今回の展示を見て、なんと凄い探究心と、日本の心を突き詰めてデフォルメして、ここまで完成させた、まさに「国民的日本画家」なのか~と再認識しました。金曜日夜に訪れましたが、年配のサラリーマン風の男性客が多かった。珍しいかな。
まずは、サイズ感。今回大きい絵をゆっくり堪能できるような展示になっています。図録などでみるよりも迫力があり、まるで森の中にいるようで、深呼吸したくなる、吸い込まれそうな気分になります。特に森の風景と雪の描写が素晴らしいです。
そしてクライマックスは、奈良・唐招提寺襖絵展示です。こ、こ、これは・・・このブースに入ると、「うわあ。。」とため息が皆さん出ます。思わず声に出てしまいます。青い波、そして鑑真像を奉るお部屋の襖絵には、故郷中国の風景を、墨のみで表現されている。いわゆる垂らし込みを使わず、幾度も幾度も塗り重ね、奥行きを出しているという情報(「美の巨人」より)。圧巻です。
90歳まで絵筆を取っていたというから驚きます。最後から2番目の、黄金色の落ち葉と光の絵がとても印象的でした。まさに「黄昏」という文字が浮かびあがり、天に召される狭間の風景ではないのかと、思いました。文句無く、お奨めです。
江戸絵画の美 ―白隠、仙厓から狩野派まで―
会期:2018年10月13日(土)~2018年12月5日(水)永青文庫
永青文庫は、目白駅、江戸川橋駅から散歩しながら訪れる場所。近くのホテル「椿山荘」や、リーガロイヤルホテルでお茶したり、お食事するのも良いですよ。
肥後細川家のお屋敷跡で、細川のたくさんのコレクションが展示される場所。有名な白隠、仙厓さんをたくさん所蔵しています。また、細川家代々のお殿様は絵をたしなまれるとの事で、幾つか作品が展示されていました。元首相の細川護熙さんは、陶芸作家でいらっしゃいますし、本当に芸術に造詣の深い、由緒あるお家柄なのですね。
今回は、狩野栄信「百鳥図」を見てみたい!11月13日から展示されるとのことで行ってきました。ガラス越しにみる百鳥図は、とってもかわいらしい。たまたま持っていた双眼鏡で、まるでバードウォッチングのようにして、一羽一羽確認しました。15分ぐらいずーーっと目の前でじっくり観察。私にとってはこれが一番の目玉ポイントでした!
須田悦弘 ミテクレマチス
会期:2018年4月22日(日)~2018年10月30日(火)ヴァンジ彫刻庭園美術館
須田さんの木の花は、本当に美しいです。一瞬、木だとは気づきません。展示の仕方も、まさに野に咲く花のように、花は花なりに展示されていますので、気づかない。発見した時のうれしさといったら。こんなところに~って。楽しいですよ。
クレマチスの丘は、静岡県三島駅からバスが出ています。スルガ銀行 岡野創業家の岡野光喜さんがベルナールの大コレクターで、1973年ベルナール・ビュフェ美術館を作り、2002年にクレマチスの丘の作られた方だと、最近知りました。
他に訪れた企画展の感想も掲載しました。
ukai
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